当サイトでも何度も取り上げている民泊ですが、政府の検討会、有識者会議でもそのルール作りを巡って推進・慎重派の議論が分かれているようすですね。12日に行われた厚生労働省と国土交通省の有識者会議をふまえいろんな報道が出ました。


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民泊解禁、政府内に溝 旅館業法適用か否か  :日本経済新聞(2016/1/13 0:52)

一般住宅に有料で旅行者らを泊める「民泊」の解禁を巡り、厚生労働省と国土交通省の有識者会議は12日、部屋の貸し手に旅館業法の営業許可の取得を促す対策案を了承した。両省はこれを踏まえ、具体的な詰めに入る。ただ政府の規制改革会議は同法の適用除外にすべきとの立場。国家戦略特区での民泊を巡ってはマンション管理規約の扱いで国交省と特区側の溝が深い。政府内の調整は曲折がありそうだ。

 民泊サービスを繰り返し提供する貸し手は旅館業法の営業許可が必要だ。インターネット仲介を通じて普及する民泊の大半の貸し手は許可を得ていない。訪日外国人の急増による大都市のホテル不足を背景になし崩しで違法状態が続いている。

 今回の旅館業法の枠組みによる許可を出す方式に、法改正は必要ない。カプセルホテルなどの「簡易宿所」の面積基準などを緩和し、宿泊者の確認やトラブル時の体制整備を条件に許可を出す方向だ。「法の網」で捉えるための応急処置といえる。厚労・国交省は3月末までに有識者会議の中間報告を取りまとめる。

 この流れに待ったをかけているのが政府の規制改革会議だ。昨年12月に旅館業法の適用を外し届け出制などの緩やかな監視にとどめるよう求める提言をまとめた。民泊が普及すると経済効果は10兆円台との試算もあり、この勢いがそがれることを懸念している。だが12日の厚労・国交省有識者会議では「民泊は旅館業法の旅館業にあたることは否定できない」とくぎを刺す意見が出た。

 一方、国家戦略特区では旅館業法の適用を外す特例で民泊を認める制度があり、東京都大田区で来月から実質的にスタートする。これを巡っても政府内で温度差がある。

 マンションの管理規約には一般に「専ら住宅として使用する」との規定がある。住宅行政を管轄する国交省は民泊は「住宅」に当たらないとの立場。特区で民泊を実施するには規約の改正が必要との通達を昨年12月に自治体などに出そうとした。

 しかし国家戦略特区の会議の民間議員の猛反発にあい、通達は出ていない。民間議員は民泊は「住宅」であれば可能との立場。国交省の言い分による管理規約の改正は必要ないとの見解だ。国交省は「今後も説明に努めていきたい」(石井啓一国交相)との姿勢だ。
 政府全体としては観光立国に向けて民泊に積極的。これに対し慎重なのが旅館業界だ。強力なライバルを恐れてのことだが厚労・国交省の有識者会議では「テロ犯罪者の格好の宿泊施設となり得る」「設備費用がかかる旅館やホテルと民泊の不公平な競争条件を是正すべきだ」とけん制している。中期的にはネット仲介業者への規制も議論になる。民泊を巡る調整作業はまだ先が長そうだ。

テレビ東京のワールドビジネスサテライトでは、特区を利用して1月末から体験なしで民泊が行える大田区の不動産オーナーさんの様子などが紹介されました。

以下、管理人が番組を見てとったメモ

  • 民泊仲介業者「とまれる」では、これから大家さんに物件を登録してもらい認定事業者をサポートする。
  • 1月末から大田区が体験なしでも民泊が行われるので準備している。制度開始までに100件は登録したい。お客様に選択肢の余地を出すために。
  • eims(エイムズ)では、駅に近く民泊を意識した物件を6件手掛けた。一つ紹介されたのは、駅近い立地だが、築35年という古さから空室が目立つようになった物件。床に無垢の素材を使い耐久性が強く堅い素材に。キャリーバッグを引いても傷がつきにくい。玄関は掃除しやすく丈夫なタイル張りに。外食が多い利用者を考えてキッチンも最小限の設備に。収納の扉をなくして部屋を少しでも広く使えるように。民泊は写真で判断することになるので、デザイン性や素材感が重要とのこと。
  • アパートオーナーさんのコメント。新築と比較すると需要が先細っている。現在駅近い物件を6件リノベーションを手掛けた。大田区への営業活動に力を入れている。
  • エイムズでは大田区を中心に今後も営業を展開していきたいとのこと。
  • 番組キャスターの大浜さんのコメントが印象的でした。「最初は空いている自分の家や部屋を貸すというのが民泊の様子だったが、今では民泊ありきのビジネスになっている」

    いままでの実験的な経験を考えると、民泊こそ徹底した管理が必要では?

    民泊と言う新しい言葉が出てきたのは、ほんの最近のこと。それでも、いろんなトライアルがなされメリットもデメリットもだいぶ見えてきましたね。最初は新しい市場が広がっていくのかなという期待もありましたが、やっぱり、あくまでも、既存のホテルの補完として行う、地域の宿数を確保するという調整弁の役割が、現実的ではないでしょうか?

    マンションやアパートの部屋を個人や法人でいくつも借りて、民泊として貸し出している人もいるようですが、これは明らかにやってはいけないし、ルール違反です。管理人個人の意見ですが、民泊こそ徹底して厳しい管理、登録が必要なのでは?という感じがしています。